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ロシア
BABYBOX
ロシアに初めて設置された「希望のゆりかご」
希望のゆりかご

 「希望のゆりかご」(ロシア語で「Колыбель надежды」)とは、エレーナ・コトヴァ氏によって設立されたロシアの慈善団体です。「希望のゆりかご」は現代ロシア初のベビーボックスを2011年11月にペルミ地方ペルミ市で開設しました。このベビーボックスの開設の背景に、2010年にペルミ市で起きた幼児殺害事件があります。この事件では、燃えた家宅の跡に二人の新生児の遺体が見つかり、母親が逮捕されました。母親の証言によると、金銭的な余裕もなく、家族から中絶を受けるよう圧力をかけられたので、救済の選択肢がなかった為容儀なく殺したということです。同じ状況に陥った母親達に選択肢を与えるべくベビーボックスを開設しました。
 現在ロシアでは10自治体で19個のベビーボックスがあります。このベビーボックスは合わせて78人もの赤ちゃんの命を救いました。そのうち、12人の赤ちゃんが生みの親または生みの親戚と再会できています。このベビーボックスはロシア連邦大統領、連邦政府とロシアにおける全ての宗教団体の支持を受けています。
 「希望のゆりかご」はベビーボックスに加え、親と子が一緒に暮らしていける方法を見つけるよう、悩んでいる母親達の為の情報、サポートと支援を提供しています。更に、家族サポートセンターのネットワークの運営し、貧困家族や大家族の為の物質的かつ金銭的な支援の提供、それに医療的かつ法的支援の提供も行っています。育児放棄と児童虐待を撲滅する運動の一役も買っています。

FACT
ロシアの状況

 各ベビーボックスに掲示板を設置し、電話相談やカウンセリング、各公認宗教団体の電話番号を提示しています。そこには預け入れる前に、もう一度よく考えなおすようにメッセージを掲載しています。預け入れされると政府の保護下となり、医師の診察を経て警察、児童保護管理局に報告されます。また、預け入れた母親やその家族は、養子縁組が成立するまでは、子を引き取ることができます。
 「私の歴史」の箱を「希望のゆりかご」や児童保護管理局で保管します。中には、預け入れられた日時、施設、担当医師、着衣や小物、家族につながる写真や書類等が入っています。
 2011年からペルミ地方で26,697世帯が医療や法的サポートを受けました。2016年、「希望のゆりかご」は支援団体と共に社会的プロジェクト「幸せを選ぼう!」を実施し、社会的孤児や中絶の防止に努めました。また他にもペルミ地方の多子家庭・貧困家庭への人道支援や困難を抱えた人のための多機能支援センターを設置しました。
 「ベビーボックス禁止法案」に反対する署名が3週間で25万以上集まり、約75%のロシア市民がベビーボックスを支持しています。

シンポジウム

※当動画は、第14回アジアヘルスプロモーション会議のPVから一部抜粋したものです。

発表者名 :Elena Yulevna Kotova
イベント名 :第14回アジアヘルスプロモーション会議
公演日 :2018年4月15日