ジュサラン共同体とは、生みの親に捨てられた障害を持つ子供を受け取り世話をする、韓国のジュサラン教会が率いる地域組織です。この取り組みの創業者はイ・ジョン・ラク氏です。イ氏のご子息は重度な障害を持って生まれた為に、以前働いていた会社を辞めてご子息の世話をすることに専念しました。しばらくすると1999年に、ご家族が世話することが出来なくなった障害を持っている小さな男の子を引き受けて世話をすることになりました。この時以降、イ氏の親切が口コミで普及され、結果的にプロテスタント教会の牧師になる為の研修を終えてから、ジュサラン教会の慈善活動として放棄された子供の世話をする為のコミュニティハウスを2003年にソウル市で開きました。
ジュサラン共同体は2009年12月にベビーボックスを開設しました。そのきっかけは、2009年5月のある肌寒い早朝に、障害を持っている新生児がダンボール箱でイ氏の住宅の前に放棄されていたことでした。ジュサラン共同体のベビーボックスには冷暖房の他に、赤ちゃんが預けられたことをコミュニティハウスの方に知らせる為の警報が装備されています。初めて赤ちゃんがベビーボックスに預けられたのは2010年でした。その後、2012年に養子縁組関連の法律が変更となった原因で、ベビーボックスに預けれる赤ちゃんの数が急上昇しました。これに対しジュサラン共同体は2015年に、母親が専門家に相談出来るベビールームという施設を新たに設置しました。
ジュサラン共同体が経営しているベビーボックスは、2017年末までに1300人、平均として月に17.5人の赤ちゃんを受け入れています。
今後、ジュサラン共同体はベビーボックス事業の前段階として、保育サービスや未婚の母の仕事や家庭両立支援、匿名出産特例法の立法活動、養護施設に行く前に養子縁組を促進する考えです。また、ベビーボックスに預けられた子ども達のアフターケア強化し、養護施設に住む子ども達の支援も強化していく予定です。
乳児遺棄やベビーボックスに赤ちゃんを預け入れる主な理由として、養子縁組特例法により養子縁組の際に出生届が義務化されたことが挙げられます。
2017年は1年間に130回ベビーボックスに関する報道があり、世論に大きな影響を与えました。大多数の国民がベビーボックスについて知っており、一部、批判的な市民団体もあるものの、大多数の国民は肯定的です。
マスコミは、賛否両論の立場から肯定的態度へ変わりました。ベビーボックス関連立法案(匿名出産制度)に対しても肯定的な態度をとっています。一方、政府は、積極的な批判から中立的立場へ転換しました。但し、合法化については関連法がないことを理由に否定的な立場をとっています。